読書や日常の感想文

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頭の中の文字起こし

先輩は曲者

今回は僕の会社の先輩の話です。

先輩は営業マンで、僕はその技術サポートとして一緒に行動する事が多く、現在もですが何かと面倒を見てもらっています。

先輩はいつも面倒くさそうに仕事をしていて、口を開けばゴルフの話ばかりするし、社内の飲み会は行事以外で参加しているところを見た事がなく、社内付き合いも良いように見えません。でも、社内で信頼されていて、今年になって営業グループのトップになっていました。

僕はそんな先輩に対して「曲者」というイメージを持っています。

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そのイメージがつき始めたのは、僕が入社して間もない頃にあるクレームを対応した時からです。

当時、先輩と僕はクレーム対応のために急遽、宮城県の片田舎まで行く事になったのですが、僕は初めてのクレーム対応に緊張しながらも「僕は先輩のサポートで付き添いなんだ」とどこか甘く考えていました。

しかし現場に向かう道中、空港で先輩と待ち合わせていたところ、先輩から一本の電話が入りました。

「すまん、別件で急遽行けなくなったから、お前1人で行ってくれ」

その用件だけ伝えて電話が切れ、僕は突然の状況に「え?」となったまま数秒固まってしまいました。

その後は、現場に着いた後の流れを頭の中で延々とシミュレーション(どれもお客さんに怒られるネガティブな奴)しながら、出来る事なら今すぐ帰りたいという気持ちで現場に向かいました。

元々、自分はただの付き添いと思っていた分、この時の不安は半端なかったです。

 

現場に到着後、予想通り機嫌が悪そうなお客さんと対面し、道中のシミュレーションを完全無視した対応で話を進めました。無我夢中だったせいか、準備していた作業靴に履き替えるのを忘れて革靴のまま現場を歩き回り、革靴が手入れではどうにもならない程の泥だらけになってしまったので帰りの空港で捨てることになりました。

結局、新入社員の僕でも対応ができるぐらい大した内容ではなく、むしろクレームでもなんでもなかったので帰りはお客さんも笑顔で見送ってくれました。

帰り際に、お客さんから「革靴どろどろになっちゃってるね」とちょっと心配してくれていたので、もしかしたら、大事にならなかったのは靴の犠牲のおかげもちょっとはあったかもしれません。

 

後日、先輩に僕がどれだけ大変だったのかをぶつけました。

すると、先輩は笑いながら

「事前に客とはほとんど話はついていて、大した内容じゃない事は分かってたんだよ。だから、お前1人に任せたんだ」

それを聞いて僕は唖然としました。

なんでそれを先に言ってくれなかったんだ、とはてながいっぱいでした。

でも、何故か腹は立ちませんでした。

実際に先輩が99%仕事を終わらせて、僕は残り1%でバタバタしてただけでしたし。

当時は腹が立ちませんでしたが、今思い出すとちょっと腹が立ちますね。

 

この瞬間から、僕は先輩の事を「曲者」と思うようになりました。

今でも先輩のスタイルは変わらず、最近でもお客さんとの打ち合わせの直前に「今日の打ち合わせって俺いらないよね?」と電話で連絡があり、残された先輩の部下の新人営業マンと僕は顔を見合わせて「まあ、いつもの事か」と言って、その日の打ち合わせを何事もなく(むしろ良い結果で)終えました。

 

僕は他人の目ばかり気にするタイプなので、先輩のようなスタイルはちょっと憧れてます。

でも、絶対真似できないし、多分自分には合っていないと思います。

 

来週も先輩と一緒にお客さんと打ち合わせですが、もしかしたら、また直前で来なくなるかもしれません。

でも、先輩がそうする時は良い方向に進む事が多いので、そうなったらかえって安心かもしれません。

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。