毎年、人事部からある仕事のお手伝いとして僕に声が掛かります。僕に人を見る目があるとか、そんなカッコいい話ではなく、社員のサンプルとして会社説明会やインターンに駆り出されるという役割です。
ちなみに、僕に声が掛かるのは単に他がいないからというだけの理由で、昔は2、3人でローテーションを回しながら後輩が入れば引き継いでいこう、なんて話だったのにローテーションが1周も回らない内に僕だけになってしまった結果、僕が対応する事が恒例になってしまったわけです。その後も、たまに入ってくる新入社員に引き継いではまた僕に役割が戻ってくる、ということを繰り返して今に至ります。
そして昨年、コロナの影響で会社説明会もインターンも無くなることが決定し、やっとこの役割から解放される兆しが見えたんです。
元々、人前で話すことが得意では無いこともあって、今年は緊張で疲れなくて済むぞ!と喜んだ矢先、まさかの動画説明会というレベルアップをして帰ってきました。
どうやら僕はこの役割から抜け出せないみたいです。もちろん、カメラに向かって話すなんて慣れていないので、ガチガチに緊張して目線の泳ぎまくったひどい動画が出来上がりました。
そして今年もまたその動画説明会の時期がやってきてしまいました。
前回は一方的に会社の説明をする形式だった事に対して、今回はインタビュー形式で会話をしているところを動画に撮影するようです。
事前にインタビューの内容を渡されて撮影当日までに考えておきなさい、というわけですが、質問内容はどれも典型的な内容で、社風や仕事のやりがい、苦労したことなどで、長年会社説明会で社員のサンプルをやっている僕にとってはお茶の子さいさいな質問達です。
相手が紙なのですらすらといつも通りの使い古した回答を書いていたのですが、ふと気付いた事がありました。
「僕が嫌だと思っている事を聞こえが良いように言い換えているだけ」ということに。
◆会社の魅力、社風は?
「社内コミュニケーションが取りやすく、相談や他部署との仕事の連携もしやすい。風通しが良い!」
↓
「毎日頻繁に行われる社内コミュニケーションは、如何に自分に仕事が溜まらないようにする為の仕事の投げ合い…」
◆仕事の難しさ、やりがいは?
「良い商品を設計しようとする程に行き詰まるのですが、やり切って商品をリリースした時にはやりがいを感じる」
↓
「顧客や社内の要望に応えようとする程に設計が行き詰まり、何とかリリースできた頃には凄い燃え尽きた感」
などなど。
もしかしたら、会社説明会で紹介している内容ってひねくれた見方をすれば仕事の実態が透けて見えるのかもしれません。
思い返せば、僕がこの会社で面接を受けた時の面接官(今の上司)に会社の良さを質問したら「新人の時から色々挑戦できるし、製図や計算ばかりではなく、実験やものづくりの工程にも関われるよ!」なんて言ってたような気がします。
実際に嘘は言っていませんでした。1ミリも嘘はなかったです、が言葉の通り過ぎでしたね。この時の面接官の言葉をひねくれた見方をすれば、「何でも屋ですごく大変」て事ですからね。
まあ、今となっては遠い昔の話ですし、コロナで大変な今のご時世でも、仕事が続けられているので結果オーライという事なんでしょう。
でも、もし僕が就職活動をしていた頃の自分にアドバイスするとしたら「先輩社員の言葉や仕事内容の紹介はちょっとひねくれた見方をした方が良いよ」と言ってあげますね。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。