読書や日常の感想文

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頭の中の文字起こし

【感想】こんな宇宙人に会いたい『ガニメデの優しい巨人』を読んだ

以前読んだ「星を継ぐもの」の続編の「ガニメデの優しい巨人」を読みました。

ガニメデの優しい巨人 (創元推理文庫) [ ジェームズ・P.ホーガン ]

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初版が1978年と40年以上も前の作品なのですが、古さなんて関係なしに非常に面白かったです。何十年も前の本となるとジェネレーションギャップがあって楽しめない、なんてことがあるんじゃないかと思っていましたが、僕の思い過ごしだったようです。

タイトルにもある通り、前作では謎のままだった異星人ガニメアンが中心の話で、僕が前作を読んで1番気になっていたガニメアンそのものが登場して色々な事が解明されていきます。しかも、ガニメアンの真相に留まらず前作の結末も絡めた驚きの真実が明らかになり、前作同様にすごく読み応えがありました。

ちなみに、今作も一部謎が残る形で終わっており、次の「巨人たちの星」に続く内容となっています。

 

前作は月で発見された5万年前の死体チャーリーの謎を解明する話で、全体的に固いというか、ピリピリした緊張感が漂っていた(そこがすごく良かった)のですが、今作は全体的にかなり明るい雰囲気です。というのも、前作の結末で分かった大発見に加えて、木星の衛星で発見された宇宙船から未知の機械がゴロゴロ出てきて科学者達は好奇心で常にウキウキしている状態なんですね。ファミコンで遊んでいた子供がPS5を拾ったみたいな感覚でしょうか、僕の知識ではこんな表現しかできませんが、とにかく誰もが世紀の大発見に大騒ぎしている状態です。主人公のハント博士も前作ではクールで頭脳明晰な科学者という印象でしたが、今作では彼のユーモアな部分が頻繁に出てきてより親しみが湧きました。また、前作で一時期対立していたダンチェッカー博士と好敵手のような信頼関係が築かれているところも僕としては楽しめたポイントでしたね。

 

今回特に印象に残ったのが、異星人が登場しても争いが起きないという展開です。僕の印象ですが、宇宙が舞台のSFって大概争いが話の軸になっている印象なんですね。宇宙で発見された鉱物資源の取り合いや、宇宙人類と地球人類の争い、地球を守るための宇宙人との戦争など、僕のSFイメージには争いが必ずありました。

でも、今作に出てくるガニメアンはタイトルのとおり、非常に優しく、友好的です。地球人の表現で言えば、性格が温厚、懐が深い、紳士的といった表現が当てはまる生物なのですが、そもそも争うという概念自体が無いんですよ。これが今作の雰囲気を明るくしている要素の一つにもなっていましたね。しかも、この特性に至った背景を生物学の観点から論理的に解説がされている部分がまた興味深い内容でとても面白かったです。

それにしても、争いの概念が無いというのは、気の弱い僕からしたらちょっと羨ましく感じましたね。他者との比較や競争から生まれる大小様々な争いは、毎日繰り返しているとすごく疲れるので、一度で良いから争いの無いガニメアン社会を体験してみたいものです。ただ、争いの概念が無いガニメアンから見て、人間の持つ凶暴とも言える攻撃的な性質は、人類が短期間で文明を発展させるために必要な要素となっているとも書かれていました。

なるほど、確かにそうですよね。

競争があるから互いに高め合えますし、前作だって色んな主張を持つ研究者達が対立しながらも意見をぶつけ合ったからチャーリーの謎を解明できたわけですから。僕も前作のそんな内容に胸が熱くなる想いを感じたので、きっと僕の中にも競争好きのDNAが組み込まれているんでしょうね。

 

今回もSF小説を読みましたがしばらくはこのブームは続きそうです。すぐに続編の「巨人たちの星」を

読みたいところですが、一気に読んでしまうと楽しみが無くなってしまうので、一回別のSFを挟もうと思っています。

もしかしたら、そっちもハマるかも知れません。

また感想書きます。

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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