前回読んだ東野圭吾さんの『容疑者Xの献身』が思ったより早く読み終わってしまったので、次に読む本を切らしていたのですが、本棚から一冊の古い本を見つけまして、読んでみたところとても面白かったので紹介したいと思います。
読んだ本は、星新一さんの『おのぞみの結末』です。
この本の良かったポイント
- 短編だけど物語にぐいぐい引き込まれる
- 絶妙なひねり具合の結末が面白い
- 短時間で楽しめる
初版は1976年発行と、40年以上も前の本です。いつ購入したものかは分かりませんが、ページの端が日焼けしてかなり茶色くなっていました。
僕の嫁が「好きな本だから」と実家から持って来たようなのですが、表紙が独特というかちょっと不気味でとても好きになれるような本には見えませんでした。
ページ数は約170ページ程で2時間ぐらいで読めたのですが、内容はかなり面白かったです。
表紙で面白くなさそうと決めつけてすみませんでした。
この本は、ショートショート(小説の中でも特に短いもの)11編で構成されていて、タイトルの通り、どの話も結末がまさに"おのぞみ"の結末で終わります。その結末がまたひねりが効いているのですが、結末だけが面白いのではなくて、そこに至るまでの展開も面白かったです。
中でも好きな話をいくつか紹介します。
一つの目標
登場人物は、優秀な博士と世界征服を企らむ怪しげな団体に勧誘してくる心理学者です。心理学者は世界を平和にするための正義の世界征服だと上手いこと言って博士を勧誘して来ます。始めは「怪しいやつだな、入団なんて真っ平ごめんだ」と警戒していた博士も、僅か2ページ程のやりとりで「正義の世界征服に協力できて光栄だ!」と言うまでになります。
この入団に至るまでの2人のやりとりのテンポの良さは息ぴったりの餅つきの様で、話がどんどん展開して読んでいて楽しかったです。
話は進み、博士の頑張りもあって世界征服を達成し、世界に平和が訪れました。しかし、その後にまさかの結末で話は終わります。
その結末は一見可笑しい、けど「なるほどなー」と妙に納得できる終わり方なんですよね。
予想していなかった結末でとても面白かったです。
侵入者との会話
強盗が刑務所から脱走して、ある女の部屋に逃げ込んできます。女は怖がり、通報もしないし金もあげるから出て行けと要求するのですが、強盗は出ていきません。しかし、話が進むにつれ、女の部屋に違和感がある事が段々わかって来ます。
僕は女の事を可愛そうだとか、運がないなとか思っていたのですが、徐々に「こいつ何者だ?」と感じるようになり、どんどん話に引き込まれていきました。
そして女の正体が悪人だと分かり、突然現れた女の仲間に強盗は捕まり殺されそうになります。でもこの後、思いもよらない形で結末を迎えます。
「やっぱり女は怪しかった!」から一気に「そんな終わり方!?」です。
展開が急激に変化するけど、飛躍し過ぎず、かつ予想の斜め上で着地する感じが面白かったです。
要求
この話が1番好きです。
突然、宇宙船が地球に降り立ち、地球人は宇宙人に地球に来た目的を尋ねます。でも、宇宙人の返答はどれも地球人を見下した胸糞悪いもので、頭にきた地球人は宇宙船に激しい攻撃を仕掛けます。
しかし、宇宙船には傷一つつけられず、宇宙人から「地球人は馬鹿だなぁ、ほれ!」と言った調子で放たれた攻撃で、街1つを一瞬で壊滅させられてしまいます。
その後に、攻撃をしない代わりに宇宙人からある要求をされます。
「1年以内に人類を操る機械を作れ」
ここまで読んだ感想としては、面白いけど正直どこかで読んだことのあるような話といった感じでしたが、勿論すんなり終わりませんでした。
人類を操る機械が完成した後、これまた僕の予想を遥かに超えた結末で終わりました。
「こんなのあり?」とポカーンとしながらも、予想外の終わり方に確かな面白さがあって、すごく印象に残る話でした。
最後に
偶然出会った本ですが、とても面白かったです。
ネットで人気ランキングから本を選んでいた僕では出会わなかった本だと思います。
映画化、ドラマ化、〇〇賞受賞作品といった比較的新しい本や、今人気の作家に目が行きがちでしたが、年代問わずに名作と呼ばれる本を読んでみてもいいなと思えるようになりました。
星新一さんも、調べてみるとかなり有名な作家のようで、ここでもまた前回同様に僕の過去に接点を見つけました。
中学生の時の英語の教科書が、東京書籍のNEW HORIZONだったのですが、その中に星新一さんの「おーい、でてこーい」という作品の英訳版が入っていたようです。
僕は英語が苦手でまともに読めずイラストだけ覚えていたのですが、突然空いた深い穴にゴミを捨てまくるといった話だったと思います。
またしても意外な接点があったので、次に読む本も何かあるんじゃないかと期待してしまいます。
次の本も読んだらまた感想を書きます。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。