読書や日常の感想文

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頭の中の文字起こし

アンコンシャス・バイアスの講習会に行った話

皆さんは「アンコンシャス・バイアス」という言葉をご存知でしょうか。

僕は最近この言葉を知りました。

日本語に訳すと「無意識の偏見」という意味になります。

これは脳のある機能により引き起こされるもので、程度の違いはあれど誰もが持っているものです。

何故こんなことを言い出したかと言いますと、僕の職場の男女比率が背景にあります。

僕の職場は男性社員の比率が多いのですが、ここ最近になって女性社員が増えてきました。

特に僕の部署はその傾向が顕著で、僕の後輩は全員女性という状況になっています。

ここに組織変更による部署の統合やらが加わり、男性比率100%だった僕の部署が、今では女性比率の方が上回りました。

そして、部署内の社員を社歴や年齢で区別すると、なんと僕がど真ん中に位置するではありませんか。

その状況をグラフで表すと、まさに砂時計のような形で、くびれている部分が僕で端に向かうほど広がっていく、そんな人数構成になっています。

つまり、後輩からの上司・先輩への報告や、その逆の上司からの指示や情報の展開に僕を経由しがちな状態なわけです。

そんなある日、体制の変化に伴う部署内の担当の振り分けについて上司と話していたところ、僕の思い込みの強さを感じてか、アンコンシャスバイアスの講習会を受けてみては、との提案がありました。

講習会の受講って知識がつくのはもちろんのこと、仕事の張り詰めた雰囲気からちょっと解放されるので嫌いじゃないんですよね。

というわけで、アンコンシャスバイアスについて学んできたので、その復習を兼ねて内容を振り返ってみたいと思います。

アンコンシャス・バイアスとは?

例えば、次の4人から仕事を頻繁に休みそうな人って誰だと思いますか?

  1. 若い新入社員
  2. 年配の男性社員
  3. ベテランの女性社員
  4. 育児中の女性社員

僕は4の女性社員だと思いました。

小さい子供がいると急な発熱などで休むイメージがあるからです。

その次を挙げるとしたら高齢のベテラン社員で、他と比べると健康面の理由で休むイメージがあります。

そして、ベテランの女性社員、若い新入社員とくる感じです。

若い新入社員は休むイメージがなく、新入社員だから毎日休まず仕事を頑張っているんだろうなぁ、とそんなイメージが浮かびました。

これが僕のアンコンシャスバイアスです。

人間の脳は物事を他の事柄に紐付ける機能が備わっているようで、日々インプットされる大量の情報を素早く処理する為に必要なものなのですが、その紐付けがアンコンシャスバイアス(無意識の偏見)を生み出しています。

先程挙げた例の回答は人それぞれ違って、中にはベテランの女性社員を選択して、親の介護で休みがちなイメージといった回答もありました。

自分自身がそうなのか、身近な人にそういった人がいるのかは分かりませんが、僕の頭には全くない発想だったので驚きでした。

アンコンシャスバイアスの代表例

アンコンシャスバイアスにはいくつかパターンがあり、それぞれに名前が付いています。

ここでは、その代表例をいくつか挙げてみます。

ステレオタイプバイアス

先程挙げた例は、ステレオタイプバイアスという部類のものになります。

人や属性に対して特定の特徴があると決めつけるようなものがそれに該当します。

僕自身が受けている例として、文系・理系に関する決めつけがあります。

僕は学歴から理系に分類されているのですが、上司や同僚からは「理系だから計算は得意だろう」「理系ならこの手の仕事は理解できるだろう」というワードが割と頻繁に出てきます。

僕自身、数字が得意とは思っていないのですが、この流れで難解な仕事が降ってくることもたまにありました。

アインシュテルング効果

過去の経験や結果に固執して、他の考え方や選択肢を無視してしまうようなことはこれにあたります。

これは、誰でも頻繁にあるんじゃないでしょうか。

僕は仕事で毎日と言っていいほど目の当たりにしていますね。

僕は開発の仕事をしているのですが、製品の仕様を考える上で過去の経験と実績には考え方がかなり引っ張られます。

もちろん、経験と実績はいわゆるノウハウなのでその情報を活用することは当たり前ですが、「過去にこの方法でうまくいったから大丈夫」といった認識から、その方法を起点とした発想で物事を考えがちで、それ以外の選択肢が見えなくなっていることがあります。

思えば、提案したアイデアが過去の実績を理由に一瞬で却下になることがよくありますが、上司から僕に対してだけでなく、僕が後輩社員に対しても同じことをやっている気がします。

思い出そうとすればまだまだ出てきそうです。

集団同調性バイアス

もしくは多数派同調性バイアスといわれ、所属している集団やグループに合わせた行動をしてしまうことがこれに該当します。

僕が過去に経験したものとしては、仕事中の地震時の対応がこれに当たると思いました。

職場がビルの最上階なのですが、ある日会議中に震度4ぐらいの地震が起きたんですね。

ビルの高さもあって体感ではかなり揺れた地震で、会議中に誰かが「これはまずい!」と叫んで机の下に隠れ、それを見た僕を含めた会議の出席者が一斉に机の下に隠れるという事がありました。

別の日、デスクで仕事をしているとスマホから地震警報が鳴り響き、社内の空気は一瞬張り詰めたのですが、人によっては変わらず仕事を続けていたりして、確か僕も仕事を続けていたと思います。

警報からしばらくして地震が起きて、その時間は何事もなく過ぎていきました。

この時、確か震度は同じぐらいだったのですが反応が全然違ったんですね。

おそらくこれが、集団同調性バイアスなのでしょう。

これ以外にも、定時に帰宅する人が少ない職場で働いていると自分も当たり前のように残業している、というもの同じかもしれません。

インポスター症候群

仕事で成功して周囲から評価されているのにも関わらず、自分自身を過小評価してしまう心理状態のことです。

この状態の人は周りからの良い評価をプレッシャーに感じてしまったり、チャレンジする行動に移せなくなったりするようです。

僕自身もそうじゃないかと一瞬思ったのですが、褒められたら嬉しいですし、仕事を頑張ればそれなりに達成感は感じるので全然違いました。

この特徴がある人と接する際には、しっかり話を聞いて肯定する部分ははっきり伝えるようにする接し方が良いようです。

今はいませんが、今後関わる同僚や後輩に近い人が現れるかもしれません。

おわりに

今回はアンコンシャスバイアスについて書いてみました。

正直すごく興味を持って受講したわけではなかったのですが、なかなか興味深い内容で面白かったです。

この講習会を受講した後には、あれもバイアスがかかっているんじゃないか?そういえば、これも…なんて思い当たることが沢山ありました。

人間は思い込みが溢れる中で生活していると言っても過言じゃないかもしれません。

無意識の偏見と言われるぐらいですから、気が付かないことがほとんどかもしれませんが、せめて人に対して思い込みで決めつけるような事がないようにはしておきたいと思いましたね。

講習会の後は、上司に「ためになりました!学んだことは活かしていきます!」と100点満点の報告をし、受講を勧めた上司もどこか満足気でした。

その後、なんだか仕事も上手くいきそうな気持ちでいたのですが、講習会を受けたその日に上司の言葉の意図を読み間違えて「講習会行ったけどバイアスかかりまくりじゃねーか」と言われてしまいました。

しかし!

アンコンシャスバイアスを学んだ僕だから分かります。

上司は僕が講習会を受けたから思い込みをしにくくなっているだろうという思い込みが働いて、いつもより僕の思い込みに対する見方が厳しくなっているのだと。

…まあ、そんなわけないので言い訳です。

思い込みを取っ払うのって難しいですね。

最後まで読んでいただきありがとうございました。