【感想】シリーズ完結 ジェイムズ・P・ホーガン『巨人たちの星』を読んで
ジェイムズ・P・ホーガンによるSF小説『巨人たちの星』を読み終えました。これで、前作の『星を継ぐもの』『ガニメデの優しい巨人』と合わせた3部作の全てを読み終え、面白いSF小説に出会えた満足感と、その反面読み終えてしまった寂しい気持ちが混ざって、読み終えた後は少しの間だけ無の状態になりました。とにかく、とても楽しませてもらった作品達でした。
というわけで、今回はてシリーズ全体を通しての感想を含めて『巨人たちの星』の感想を書きたいと思います。
巨人たちの星 (創元推理文庫) [ ジェームズ・P.ホーガン ] 価格:1,034円 |
主人公のハントは仲間達と共に、月で発見された5万年前の死体チャーリーから、かつて存在した惑星ミネルヴァの存在や、地球よりも遥かに高い科学技術力を持った異星人ガニメアンの存在を突き止めました。そして宇宙を漂流していたガニメアンの生き残りとの交流を果たし、地球人類の起源に関する驚くべき謎が明かされるなど、前作はとても好奇心を刺激する内容でした。
本作は、ガニメアンの別の生き残りが移住した可能性のある星から地球にメッセージが送られてくるところから展開していきます。やっぱりガニメアンの生き残りが他にも存在したのだという喜びも束の間で、送られてくるメッセージの内容が何やらおかしい事になっています。地球人は非常に野蛮で、宇宙を武力で制圧しようとしているといった事実とは異なる認識を持たれていました。なんとか疑いを晴らそうと試みるハント達は、メッセージの発信元であるガニメアンとの接触に成功し、疑いを晴らす事に成功します。そこで、地球人を貶めようとした黒幕が存在する事がわかり、黒幕との戦争に発展していく。これが本作のあらすじです。
本作は3部作の最後という事もあり、これまでに解明された事を繋ぎ合わせて、前作で謎のままになっていた部分が次々と解明されていきます。ただ、個人的には、前作ほどの好奇心を刺激される感覚や驚きは無かったかなと思います。
というのも、本作は前作までには無かった戦闘シーンがあり、その分研究や調査の部分がすくなくなっているんですね。それはそれで面白かったのですが、その分主人公のハントの鋭い分析や柔軟な発想を披露する場面が少なく、ガニメアン達の高度な科学技術や万能AIのヴィザーの活躍の方が目立ってしまい、ちょっと残念でした。
とはいえ、高度な科学技術を持つ相手に地球人類が武力勝負では勝ち目がない状況で、頭を使う事で相手を打ち負かすところは読んでいてわくわくしました。
それに、国連の合衆国代表のカレンが、黒幕に対して鋭い推理と論法で相手を追い詰めるシーンはすごく良かったです。やっぱりこのシリーズで面白いところは、集めた情報や柔軟かつ鋭い仮説を駆使して論理的に問題を解決していく所だと思いますね。
本作でこのシリーズは完結となり、寂しいですがSF小説を好きになるきっかけになったので、読んでよかったと思っています。
まだ読んでいないSF小説が3〜4冊程溜まっているので暫くはSF三昧になりそうです。全く本を読んでいなかった僕がまさか積み本をする事になるなんて。
これを書いている間にも気になる本を見つけたので、もう少し積まれそうです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。